嘘と秘密~空白の恋~
目の前にいる人物は恐ろしいほど冷めた目で俺を睨んでいる。


いくら嫌われているとはいえ、こんな目で見られたのは初めてだ。


彼女――阿久津美音は俺の腕を掴んだ。


そしてズンズン俺を引っ張っていく。


俺はされるがまま、妹についていく。


まだ何も言葉を交わしていない。


様子がおかしいのはすぐに分かった。


だけど、その理由が思い当たらない。


連れてこられたのは空き教室。


美羽とカップルになった思い出の空き教室。


そこまで行くと、妹は俺を中に放り込んだ。


そして自分も中へと入り、鍵を閉める。


俺と向かい合うように体を向けてきた。


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