嘘と秘密~空白の恋~
「何?どうしたの?」


いつものように冗談ぽく訊いてみる。


でも返ってくるのは見たこともないような鋭い目。


視線だけで殺されそうだ。


「何かあった?」


「そんなことも分からないの?」


やっと言葉が返ってきたと思ったら。


小バカにしたような態度。


いつもそうだけど、明らかに違うのは目付き。


「何のことだよ?」


「今…保健室に運んだのは美羽?」


「じゃないけど…」


「じゃあ、誰よ?」


「…本郷彩芽…」


名前を出すのは気が引けたが、嘘はつけないと思い、答える。


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