嘘と秘密~空白の恋~
☆☆


何も会話がないまま、屋上へとついた。


この空気の重さが息苦しい。


外の空気を吸ってもその息苦しさは治らない。


「話って何?」


初めて美羽が口を開いた。


大好きな声。


大好きな美羽。


「…あ、これ」


俺はそう言うと、数学のノートを渡した。


それを見て、また目を見開く美羽。


「昼休み、屋上にいたんだね…」


美羽がコクリと頷く。


「じゃあ、見たんだよね…?」


何で答えが分かることを聞くのだろう。


分かっているけど、美羽を目の前にして上手く話せない。

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