嘘と秘密~空白の恋~
「浮気なんかしたら恭也の株が下がるだけなんだから。もっと自分を大切にしなきゃ」


美羽は涙を堪えながら言う。


その姿は弱々しくて、儚い。


春の風が俺たちの髪を揺らす。


そのせいで美羽の顔が隠れて見えなくなった。


髪の毛が鬱陶しい。


「恭也と居れて楽しかったよ。一生の思い出にするから」


ちょ、待って…。


このパターン。


「本当は恭也から言ってほしかったけど、言ってくれないみたいだからもうあたしが言うね」


美羽はノートを握る。


俺はズボンを握る。


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