嘘と秘密~空白の恋~
「いや…全然そんなこと…」


上手く言えなくて口ごもる。


俺がそんな様子でも月城さんはにこにこ笑っている。


それにうん、うんと頷きながら話を聞いてくれる。


それがたまらなく心地よい。


「美羽ー!!行くよー!!」


玄関先からKYな…たぶん阿久津妹の声が聞こえてきた。


「あ、呼んでる。じゃあ、あたしもどこうかな」


月城さんはリュックを担ぎ直した。


そしてにっこり笑いながら小さく手を振って下駄箱へと向かっていった。


和希が惚れた理由が分かった気がした。


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