嘘と秘密~空白の恋~
戸惑う俺を佐田が睨む。


「本郷がお前を手に入れられなかった逆恨みに俺らの学年で月城を好いている奴を集めて、襲わせた」


言っている内容が衝撃的すぎて…。


言葉が出なかった。


「その日の夜に呼び出されるって分かってた美羽はみこたちに自分のあとをつけるようにお願いしてきた」


妹が続ける。


「嫌な予感がしたみこたちはみことまーちゃん、亮平、あと近くの交番のお兄さんをつれて美羽のあとをつけた。どんどん人気のないところに入っていくから、まさかとは思ったけど、そのまさかだった」


妹がそのときのことを思い出したのか、顔を歪めた。


「ある廃倉庫で美羽は男たちに襲われかけた。その瞬間、みこたちが姿を現し、助けたけど。その男たちをパトカーに乗せてるとき。一瞬、美羽に誰も目を向けていないときがあった。そいつはその一瞬の隙を逃さなかった」


「気付いたときには血まみれの月城と血のついたナイフを持つ同い年のやつ」


佐田と妹が俯いた。


俺は衝撃すぎて返す言葉も、どんな表情をしていいかも分からず、ただ呆然と立ち尽くしていた。


…俺が知らない間に…。


何でこうなるんだよ…。


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