嘘と秘密~空白の恋~
冷たい視線と一緒に返される。


原因を作ったのは俺で、その傷を作ったのも間接的ではあるけど俺。


結局、俺は美羽を笑わせるどころか、傷付けることしかできない。


俺なんかと居たって幸せには思わなかったんだろうな…。


何してるんだよ、俺。


ガラッ。


突然鍵を閉めた方の扉じゃなくて、後ろの扉が開いた。


俺らはびっくりしてその扉を見詰める。


そこにいたのは生気の感じられない阿久津真琴。


彼女は俺を睨むことなく、でも無表情で俺に近付いてくる。


そして俺の目の前に来ると、ノートを差し出してきた。


『理科 2年2組1番 阿久津真琴』。


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