嘘と秘密~空白の恋~
「じゃあ」


屋上から出ようとする月城さん。


あ、待って…。


そう思ったときにはもう、俺は動いていた。


月城さんの楽器を持っていない方の腕を掴んだ。


「え?」


月城さんは一瞬、体を強ばらせた。


そのとき後悔した。


怖がらせてしまったと。


でもあとひとつだけ。


ひとつだけ聞きたいことがある。


「あなたのこと、何て呼べばいい?」


引き留めることまでしなくてもいいかもしれない内容。


でも俺には重要。


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