嘘と秘密~空白の恋~
つっきーは立ち上がり、俺から離れる。


そして楽器を拾い上げた。


「…もう帰るの…?」


「うん。…しなくちゃいけないこと思い出した」


つっきーは俺を見ずに答える。


いつもならちゃんと目を見て話してくれるのに。


どうしたんだろ…?


つっきーは譜面の整理をし終えると、立ち上がった。


「じゃああたし行くね」


…やっぱりおかしい…。


今日はバイバイも言ってくれない。


それに小さく手も振ってくれない。


でも俺は呼び止めなかった。


何もできなかった。
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