嘘と秘密~空白の恋~
姉は立ち上がると、俺の視線の先に立った。


そしてにっこり笑顔を浮かべる。


「私ももう帰るね。美羽の彼氏さんに会えてよかった。…美羽のことよろしくね」


「もちろん」


「あの子さ、強いように見えて意外ともろいから。ボロボロのときはちゃんと支えてあげてね」


俺は頷く。


姉は「じゃあ」と軽く微笑み、ドアへと歩き出した。


そして中に入る直前、またこちらを向いて俺に言ってきた。


「美羽を泣かせたら許さないからね」


彼女は俺の返事も聞かずに中へと入っていった。


泣かせるようなことなんかしないし。


約束はちゃーんと守りますよー。


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