エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
翌日、沃野は青山のカフェでさやかと会った。

このカフェはフルーツをふんだんに使ったタルトが有名で、さやかが好きな店だった。

しかしこの日、さやかはハーブティーしか頼まなかった。

コーヒー好きのさやかがハーブティーをオーダーするのも珍しい。

意外と甘いもの好きな沃野は、白桃がぎっしり乗ったタルトと紅茶を注文した。

「で、話ってなに?」

前置きなしで本題に入る。

「あのね、妊娠したの」

「僕の子?」

さやかは黙って沃野を見つめる。

目には怒りとも見える光をたたえている。

「あのね……」

「なわけないよね?」

「あのさあ」

ますますその光は強くなっている。
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