エリート上司と甘い秘密～彼の正体は私の義弟!?～

「それじゃあ、さやかの恋愛の好きの定義を述べてみてよ」

あきれられていると悟ったのか、沃野が挑戦的にたずねる。

そうね、とさやかは少し考えた。

「恋愛の好きは、ときに自分の世界にその人しか見えなくなってしまう。その人さえそばにいてくれれば何もいらないって思うけど、そのくせどんなに近くにいても足りないの。どんなに触れても足りなくて、幸せなのにどこか不安で。いつだって切なさが混じっている。私ね、あなたに出会って初めて『切ない』っていう意味を知ったのよ」

あなたがどんな人と恋に落ちるのか楽しみだわ、と微笑んださやかは、いつの間にか沃野を飛び越えうんと大人の女性になっていた。