エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
リサが店を出ていき、続いて葵も席を立った。

「私もこれで」

財布を出す様子に沃野が「彼が払うからいらないよ。なんならタルト10ホールくらいテイクアウトしていけば?な、裕也さん?」と声をかけると裕也はうなだれたままこくんとうなずいた。

抗う力はほんの1グラムの残っていないようだ。

「それじゃあ……」

バッグを持って出口に向かう。

けれど3歩いてまたひきかえした。

「忘れてた。これはさやかさんの分。彼女のこと、幸せにしてね」

3発目の平手打ちが裕也に見舞われ、店内にまた「ぱしっ」という音が響いた。
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