エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「よくわからない。そうなのかな、とは思ったけど。

でもすごく好きになって、好きになってもらって、そうして恋が始まるのかな、なんて期待してただけかもしれない。

私、20代後半なのに全然華やいでないじゃない? 

なんだろう、ときめきとかに憧れてたのかな。

おかしいよね。私だけこんなに舞い上がっちゃって。

沃野君、私が3股かけられているのを知っていて、バカにしながら観察してたんでしょ」


冗談ぽく話したつもりだったのに、葵の目からは予期せぬ涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。

とっさに涙を隠すために下を向いてバッグの中をまさぐり、「なんか目がごろごろする。ドライアイかな」とハンカチを取り出して、いかにも目の調子が悪いふりをして涙を拭いた。
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