エリート上司と甘い秘密～彼の正体は私の義弟!?～

一方沃野は、葵は瞬時に池に飛び込んでいったけど、池は深いのか、葵は泳げるのか？と、一応その様子を確認してから葵の言いつけどおり、男に回し蹴りを食らわせた。

「僕の猫になにすんだよ」

腰に沃野の骨ばった膝が思い切り入り、男はつんのめって倒れた。

「いってえ……。なにが僕の猫だよ。ただの野良猫だろう」

「じゃ、言い直すよ。僕の野良になにしてくれたわけ？　先に断っておくけど、僕さ、こう見えてもむちゃくちゃ喧嘩強いから。これ以上怒らせたらあんた、半殺しにしちゃうかも」

「お前、そんなひょろひょしてて、ふざけんなよ」

立ち上がりながら男はポケットからジャックナイフを出して刃先をひらひら光らせた。

三白眼になった獰猛な目つきで沃野の正面斜めにナイフを振り回す。

しかし沃野は別段ひるみもせずにそれをひょいとよけ、男のジャックナイフを持つ右手をつかんで後ろにねじ上げた。

嘘ではなくて、沃野は喧嘩がめっぽう強いのだ。