エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「3日も前からあなたが報告書をまとめるって言っていたから待っていたのよ。催促されて、それも守れないわけ?」

「誰が言っていたんですか?」

「リサよ」

「リサさんには何も言っていないし何も言われていません」

「たとえそうだとしても、自分で報告してくるものでしょう。あなたがなにもしないからリサが先回りしてメールしてくるんでしょう。仕事に対する積極さが足りないんじゃない」

「でもこれはリサさんの企画ですし……」
と言おうと思ったがやめた。

葵は結局、今日中にレポートをまとめますと約束してリンダの部屋を出た。

食欲が一気に失せたが、葵は気分を買えるためにランチを買いに出た。

オフィスビルの1階に入っているコンビニでサンドイッチとジュースを買い、そのまま中庭のベンチに座って食べることにした。

空は今日も青く澄んでいる。

金木犀の香りが風に乗って運ばれてきた。

「いい香り」

葵は甘い匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。

爽やかな日なのに、なんだって私の1日はこんなにも爽やかに進まないのか。
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