エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「え?」
沃野の突然のオファーに驚きながらも葵はとっさに「大丈夫。あれくらい自分でできるわ」と答えた。
入ったばかりの沃野にいきなり自分の失態を見られ、助けてもらうことに恥ずかしさを感じていた。
「でもさあ、今もう2時半でしょ。リンダ、今日は4時に帰るよ」
「えっ!」
「あー、それも知らなかった? 子供のお迎えだって。一人でやって間に合う自信ある?」
リンダは数字が大好きだ。
状況をレポートせよということは、サイトのレビュー数からどれだけ売り上げに影響したかまで、数字を引っ張り出して分析してまとめる必要がある。
出来ないわけではないが、葵にとってはまだ不慣れな作業で時間がかかる。
「………ない」
「オッケー。じゃあデスクに戻ったらその企画ページのリンクを送って。それと日本語は自信ないから、チェックして勝手に直して。3時半までには作って送るから」
「わかった」
葵はあわててベンチを立ってオフィスに戻った。