エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「部屋まで連れてく」

「すごい、沃野君。華奢に見えるけど力あるのねえ。いいわあ」
とかなんとかいう母の言葉をぼんやり聞きながら、葵は沃野に抱きかかえられて自分のベッドまで運ばれた。

「大丈夫?」

仰向けに寝た葵の顔を、沃野がのぞきこむ。

近い。顔を近づけすぎだ、とおもうけど、具合が悪くてそれどころではなくなってきた。

「大丈夫? 一緒に寝てあげようか」

「いい」

こんなときに冗談はやめてほしかった。

沃野は一旦部屋を出てからアスピリンと水を持ってまた戻ってきた。

「とりあえずこれ飲んで寝なよ。水、口移しして飲ませてあげようか?」

だからこんな時にそんなあほな冗談はやめてほしい。

「いい」

葵は少しだけ頭を起こして、アスピリンを水で飲みこんだ。

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