エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「わかった」

「素直だね。いいの?」

「だって本当に助かったもの」

「じゃ、まず最初の100ポイント」

あっという間だった。

ほんの一瞬だったが、沃野の唇が葵の唇に触れた。

「1秒キッスで100ポイントはリーズナブルかな」

さらりと言って、沃野が笑う。

え? ええええーーーー?

自慢じゃないが、葵は26歳にもなってあまり男性に慣れていない。

気づけば3年前、大学時代に付き合っていた彼と別れてから男っ気がないのだ。

そんな葵にとって1秒といえども社内で、会議室での突然のキスは衝撃的だった。

しかし沃野はうろたえる葵を置いてそのまま部屋を出ていこうとする。

その姿を追いながら、葵は「あれ?」と不思議なことに気が付いた。

葵がリサのデスクで話をしていたときには沃野はそばにいなかった………。

「でも、なんで私がこの打ち合わせに急に出席させられるってわかったの? リサさんから話を振られたのは、今朝、突然のことなのに」

「うーん、もしかして好きだから以心伝心?」

本当に冗談はいい加減にしてほしい。
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