エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
そしてリンダとリサも葵と同様、この沃野からの予期せぬメールにたじろいだ。

この状況をいかに自分に被害がかからぬように切り抜けるべきか、それぞれが頭の中でとっさに考える。

その心模様はまさにエゴのかたまりだ。


まずGMというポジションでさらに上を狙っているリンダは、何より自分のプロモートを阻まれることを恐れている。

「ファントムとの交渉は面倒な案件だったからリサに回したけど、裏目に出たわ。

まさかさらに部下に振り逃げするなんて。

日本人の夫が運営する会社の大事なクライアントの娘だっていうから、夫に頼まれてリサを自分の部署に雇ったけど、失敗だったわね。

履歴を見る限りでは英語堪能、キャリアも十分で問題ないと思ったのに、正直最近では履歴詐称じゃないかと思うほどリサにはディスアポイントだわ。

リサの部署の仕事でできのいいものはすべて部下の葵にやらせているものだってことはわかっている。

英語力も正直、きちんと話している場面を見たことがないのでわからない。

英語のレポートはまあまあだけど、これはほかの人間にやらせているという情報もある。

夫のために入社させてしまったけど、これ以上リサという駒を持っていては今後足を引っ張られるかもしれない。

そろそろ駒の捨て時かしら」
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