エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
リビングキッチンでは、母が彼を前に普段私には見せない艶やかな笑顔を見せている。

「葵もそこに座って。2人は初対面よね。沃野君は今23歳。アメリカの大学院を出て戻ってきたばかり。あんた、ハーバードよ、ハーバード。ものすごく優秀で、でもってこの通りイケメン。卓也さんに似たのね」

「いえ、おやじより僕の方が優秀でイケメンです」

沃野君が速攻、返した。

卓也さん? おやじ? 

「あーー!」

葵は沃野君がようやく誰だかわかった。

卓也さんとは葵の母の彼氏でもうすぐ夫になる人だ。


葵の父は葵が17歳の時に病気で他界した。

以来、母と2人暮らしだが、2年ほど前に同窓会で再会した卓也さんと母との交際が始まったのだ。

卓也さんは10年ほど前に奥さんと離婚して息子さんと2人暮らしだと聞いていたけど、そういえば息子さんはアメリカに留学していると言っていたっけ。

卓也さんの苗字は三崎だったっけ? 

葵は卓也さんとは何回も会っている。

でもお母さんが卓也さんと呼ぶので葵も三崎さんを卓也さんと呼ぶようになり、苗字なんてすっかり忘れていた。
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