エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
社内のほかの女子のように肉食系女子のオーラが皆無で、キャピキャピとむやみにはしゃがないところが裕也の気持ちををそそるのだ。

仕事での接点がほとんどないので、何度か食事に誘っているけどこれまで一度もOKの返事をもらっていない。

この、いまどき珍しいラフさに欠けているところも裕也にとっては新鮮である。

自覚のないナンパ師である裕也は断られてもめげることはない。

リサと飲みに行く約束をしてデスクに戻った裕也は、葵にメールを送った。

「明日、ご飯行きませんか? ファントムについて聞きたいこともあるし」

どうせ今度もまた断ってくるだろうと期待はしていなかったのに、意外にも「了解です」という、素っ気ないOKの返信がきて、裕也はメールを二度読みした。

「お、予想外にOKか。ということは今日と明日で連ちゃんになるけど、ま、いっか。今晩のリサとの飲みは早々に引き揚げて、明日が本チャンということで」と、裕也は小声でぶつぶつ言いながら、

「やった! それじゃあ明日、とりあえず7時に1階で待ち合わせということで大丈夫ですか?」とすぐに返信し、葵からは再び「了解です」というまるでコピペのような返事が返ってきた。

この素っ気ないメールでさえも裕也の心をくすぐっていることに葵はもちろん気づいていない。
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