エリート上司と甘い秘密～彼の正体は私の義弟!?～

着替えを済ませてテーブルにつき、葵もまずグラスにビールをついで一気に飲み干した。

「疲れた？」

沃野が葵の顔を覗き込む。

「疲れた」と、素直に答えると、「はい」と、沃野がいい感じに型崩れしているジャガイモをはしでつまんで差し出したので、素直に口入れた。

「おいしい」

「でしょ、あやめさんの料理は本当に癒される」

自分の料理を褒められ、母は嬉しそうだ。女親は娘よりも息子の方が可愛いというが、どうやらそれは本当らしい。

葵だって、結構母の料理をほめているつもりだが、こんなに嬉しそうな顔はしてくれない。

「有難う。沃野君は若いのに褒め上手！　明日は遅くなるから、明日の分までたくさん作っちゃった。葵、明日温めなおしてあげてね」

「あ、私も明日はちょっと遅くなる」

「じゃあ明日は僕だけか。葵さん、仕事？」

「ううん。システムの裕也君がご飯に行こうっていうから。ファントムの件もあるしって」

「じゃ、僕も行く」

「なんでっ！？」

「だってファントムの件なら僕がいた方がいいじゃん。それともデートなの？」