エリート上司と甘い秘密～彼の正体は私の義弟!?～

宣言通りの裕也の登場に葵は驚いたが、実は少しほっとしていた。あまり話したことのない裕也と２人だけで食事をすることに緊張していたのだ。

しかし裕也は、せっかく葵と２人の食事にこぎつけたのに、突然年下の上司が現れたことにがっかりしていた。

それでもそれだけなら早めに食事を切り上げ、沃野をまいて葵を部屋に誘うこともできたのに、まさかさやかの話が出るとは。

「でも……」、と裕也は考える。

「今日、さやかと会う約束したっけかな……」

どちらにしても今夜の食事は、本当にただの食事会ということであきらめて、裕也は会社の話で適当に話をつなぎ、「じゃあ、そろそろ」と、あっさり会のお開きを促した。

そして店を出ると「じゃ、葵さん、また連絡しますね。次はふたりで」と耳打ちして、沃野には「僕の家、こっちなのでここで失礼します」と、急ぎ足で去って行った。