エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「また連絡しますね」といった通り、翌日の朝にはもう裕也から葵にメールが入っていた。

「昨晩はちょっとしたサプライズでしたね。近いうちにまた食事しましょう。来週の水曜あたりどうですか? あと、よければ葵さんの携帯のメアドを教えてください」

葵はそのメールを2度読みした。

この会社に入社して以来、男性から仕事以外で何度も食事に誘われた経験がないので、そのテキストにどんな意味があるのかと、必要以上に勘ぐってしまう。

他の女の子たちのように「OKでーす」とか言える軽さに貧しい。

期待しすぎるのも、期待しないで深入りするのも怖いから、相手がどんな気持ちで誘ってくるのか知りたいし、それがわかっていれば戸惑うこともがっかりすることもない、と思うのだ。

仕事の上では判断力、行動力ともに長けていて、控えめだけどクールに見えるため、葵はひそかに目立つ存在だ。
なのに個人的なこと、とりわけ異性関係にはウブでじれったい少女と化してしまう。

午後になって葵はようやく了承の返事を返した。
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