この気持ちをあなたに伝えたい
 礼雅は喫茶店で一人アイスカフェオレを飲んでいると、待ち合わせの約束をしていた人物が店内に入ってきた。 店員が席を安内しようとしたので、彼女は自分と待ち合わせをしていることを言った。

「お待たせしてすみません、礼雅さん」
「気にしていないよ。座って、美鈴ちゃん」

 深々と頭を下げてから、美鈴は席に座った。礼雅が美鈴にメニューを渡して、美鈴はパイナップルジュースに決めた。メニューを閉じた美鈴に店員が気づいて、テーブルに近寄ってきた。

「美鈴ちゃん、スイーツも頼んでいいよ」
「で、でも・・・・・・」

 会ったばかりの人物にそこまで甘えられない。

「食べたいものがあるんでしょ? 俺が払うから好きなものを頼みなよ」
「はい、ありがとうございます」

 店員を待たせてしまうのは申し訳ないので、フルーツショートケーキを追加で注文した。

「礼雅さん、どうしてあたしがスイーツを食べたがっていることがわかったんですか?」
「店に入ったときに出入口の近くの席に座っていた女子高生達がケーキを注文しているときにじっと見ていたよ。それに美鈴ちゃんがメニューを見ているときもスイーツのところを見ていたからね」

 しっかりと観察されていたので、美鈴は少し恥ずかしかった。
 礼雅が最愛と礼雅の家で映画を観ていた日から礼雅と美鈴が連絡をするようになった。
 あの日、会話した内容は互いの連絡先を教えて、最愛のことについて話をしていた。本人が近くにいたから、長話は控えた。

「最愛ちゃん、俺が美鈴ちゃんのことについて話を聞こうとすると、いつも怒っていた」
「どうして・・・・・・」
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