この気持ちをあなたに伝えたい
 なぜ最愛が自分の話題で怒るのか、理解ができず、美鈴はポカンとした。

「最愛ちゃんは俺に警戒しているんだよ。美鈴ちゃんを傷つけないか」
「そんなに怒っていたんですか?」
「うん、かなりね・・・・・・」

 礼雅が美鈴のことを話そうとしただけで最愛の目つきが瞬時に変わる。
 もちろん礼雅は最愛が心配するようなことをしない。何度言っても、最愛の警戒は緩むことはない。

「そうやって見ていると思い出すよ」
「何をですか?」
「最愛ちゃんも小さい頃からケーキが好きで、今も変わっていない」

 テストで頑張ったご褒美や誕生日などに礼雅が最愛にケーキを買っていて、その度に最愛は笑顔になった。

「礼雅さん、最愛が小さかった頃からずっと一緒にいるんですよね?」
「うん。あ! 中学生のときの写真だったらあるよ。見る?」
「見たいです!」

 礼雅が携帯電話を操作して、写真を美鈴に見せた。写真の最愛は中学の制服を着ていて、髪を一つくくりにしていた。データボックスの中はほとんど最愛の写真で埋め尽くされていた。
 礼雅の家にあるアルバムは家族や友達の写真より、最愛の写真が圧倒的多い。最愛から誕生日プレゼントとしてもらったアルバムに気に入っている写真を入れている。
 そのことを礼雅が思い出していると、写真を見て満足した美鈴が携帯電話を返した。

「とても可愛かったです! ありがとうございました!」
「どういたしまして」

 美鈴は気になっていたことがあり、その話を聞きたかった。

「昔の最愛、どんな女の子でしたか? 特に変わりはないのですか?」
「そうだね・・・・・・」
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