この気持ちをあなたに伝えたい
一人の男子生徒
 最愛は時計を見ながら舌打ちをしていた。時間をたくさん潰されたことに腹を立てていたから。それと同時に角重先生に呆れた。
 知らなかった一面を知った。嫉妬に身を焦がしたどうしようもない女。
 普段の姿はどうやら見せかけに過ぎなかった。仮面を取ると、醜い本性を見せた。
 ここの先生はどうやら気が変な人が多いようなので、心を許すことができなくなっていく。
 結局、昼食を食べることができなかったので、イライラしている。菓子を持っていなかっただろうかとポケットの中に手を入れても、金しか入っていなかった。
 次の授業まであと五分。せめて少しだけでも食べたいので、弁当を机の上に広げた。

「最愛、どこに行っていたの?」
「さっきまで購買へ行っていたの」

 深香からの質問をされたので、購買へ行ったことにした。
 すぐに疑いにかかられたが、罪悪感を感じながら嘘を貫いた。購買へ行ったものの、欲しかった菓子がなくて、そのまま帰ろうとしたが、他の友達と話をしていたということに。案の定、それも嘘だと深香は見破っていたが、それ以上何も話そうとはしなかった。

「全部食べられそう?」
「こんな短時間じゃ無理だよ・・・・・・」

 二段弁当を食べ切るには少なくとも十五分から二十分かけなくてはいけない。いつもよりスピードアップして食べていると、隣に座っている子に笑われた。

「どうしたの?」
「だってりすみたいだから」

 最愛はその顔を彼女に携帯電話で撮影されてしまった。

「あはは、そうだね。最愛可愛い」
「ちょっと二人してからかわないで・・・・・・」

 一緒になって笑っていると、さっきのことを忘れられそうな気分になった。
 角重先生に捕まりさえしなければ、穏やかな時間を過ごすことができたはずだった。
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