この気持ちをあなたに伝えたい
 空気が悪くなっていることを感じて、餌打は話題を変えようとした。

「苺果先生、携帯のアドレスを変えたんだよね?」
「そうよ・・・・・・」

 メールを送っても、届かなくなっていたので、新しいメールアドレスを教えてもらわなければならない。

「あら? まだ教えていなかったかしら?」
「うん、教えてよ」

 携帯電話を取り出して、アドレスを教えてもらい、上書きした。

「他の生徒もアドレスを知りたがっている人がいっぱいいるよ?」
「それは嬉しいわね」

 角重先生は心から嬉しそうに言っていなかった。

「内心、困っているんでしょ?」
「そんなことないわよ」

 どんな男が近くにいても、好きな人物から視線を逸らせようとしなかった。角重先生が古霜先生のことを想っていることを餌打は知っている。

「でも、もうやり直しはないみたい・・・・・・」
「苺果先生・・・・・・」
「噂話を耳にしたのだけれど、名波さんと恋人同士なのは本当の話?」

 角重先生の声色が変わったので、餌打の背筋に冷や汗が流れた。

「・・・・・・違うよ」

 角重先生に本当のことを言うように迫られた。

「嘘じゃないよ」
「そう・・・・・・」

 もしも、最愛が自分の恋人だったら。そう思うことが増えてきた。
 だけど、そうなってしまうと、古霜先生を裏切ることになる。いや、最愛を異性として見ている時点ですでに古霜先生を裏切っていた。

「恋人ではないのね?」
「そうだよ。最愛は俺のことをそんな風に見ていない・・・・・・」
「だけど、渉君はそうじゃない」
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