この気持ちをあなたに伝えたい
 あっさりと断られたので、美鈴はがっかりした。最愛は美鈴の頭を撫でてから、必要な食材を出して、準備をしていく。
 最愛の指示に従いながら、美鈴は自分のできることをしていった。

「最愛、味噌はこのくらい?」
「それくらいだよ」

 美鈴は最愛に味噌の量を確認してから、箸を使って、溶き入れた。最愛はきんぴらごぼうを作りながら、何度か美鈴の様子を見ていた。一生懸命作っている姿は応援したくなる。
 美鈴を見守りながら、一緒に夕食を作り、約一時間以上かけて完成した。

「どれも美味しそう!」
「美鈴だって作ったんだよ?」
「そうだけれど・・・・・・ちょっと待って! まだ食べないで!」

 美鈴は駆け足で自分の部屋へ行き、カメラを持って、キッチンへ戻った。

「ひょっとして、写真を撮るの?」
「そうよ。こういう写真を撮ることは好きなの」

 写真を楽しそうに撮っている美鈴。綺麗に撮ることができたか最愛と美鈴は確認した。

「美鈴も写真を撮ることが上手だね」
「あたしも?」

 他にも誰かいるのか質問されたので、最愛はこくりと頷いた。

「深香・・・・・・皆葉さんも綺麗に撮るから」
「あたしは皆葉さんみたいに綺麗に撮ることができないよ」

 美鈴は笑いながらカメラをテーブルの端に置いて、二人分の箸を出した。最愛はグラスを用意して、お茶を出すと、美鈴が注いでくれた。
 それが終わってから席に着いて、料理を口にした。

「予想以上に美味しいよ!」
「良かった。美鈴が作った味噌汁の味、ちょうどいいよ」
「本当!? 嬉しい!」

 こういうことをするのも楽しさを知り、回数を増やしたくなった。
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