この気持ちをあなたに伝えたい
　角重先生は未だに涙を流しながら、悔しそうに唇を噛みしめている。綺麗に手入れしている爪まで噛もうとしていたところを古霜先生がやめさせた。

「私の彼氏になってよ！」
「俺はいつだってあいつのことが好きだ。もう縛られているから」

　はっきりと言い放った言葉はまるで刃のようで、角重先生の心を傷つけた。
　どんなに泣いても、縋りついても、古霜先生と角重先生の関係はもう元には戻らない。
　
「だから、ごめんな。俺はもう行くから」
「もっと私だけを考えてよ、私だけを見て・・・・・・」

　角重先生は古霜先生の首に腕を巻きつけ、古霜先生の唇に自分の唇を押しつけた。古霜先生が想っている人を忘れさせるように、角重先生は口づけをした。
　美鈴はそれを魂が抜けたようにしばらく見つめていた。

「何なの？　あの人・・・・・・」

　角重先生のやっていることがあまりにおかしく、美鈴はさまざまな感情を抱えている。


　次の日の昼休みに最愛は美鈴と屋上で会う約束をしていた。
　いつもより戻ってくる時間が遅い最愛を心配していると、頬を押さえている最愛が戻ってきた。最愛の頬は赤く腫れていて、かなり痛々しかった。

「どうしたの！？　誰にやられたの！？」
「知らない人、女の先輩なの・・・・・・」
「女の先輩？」

　昼休みに弁当を忘れた最愛が購買へ行こうとしたときに、知らない先輩に体育館の裏へ連れて行かれた。

「何か用ですか？」
「あんたさ、調子に乗らないでよ・・・・・・」
「はい？　何がですか？」
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