この気持ちをあなたに伝えたい
 そろそろ家へ戻ろうとしたときに買い物袋を抱えた母と会った。絆創膏を貼っている娘を見た後、母に事情を伝え、礼雅にお礼を言った。

「礼雅お兄ちゃん・・・・・・」
「何?」

 また部屋へ行ってもいいかどうか確認すると、礼雅はにっこりと笑った。

「もちろん。歓迎するよ」
「本当に!? やった!!」

 最愛はその場でジャンプをして、喜びを表現した。
 この日をきっかけに最愛はときどき礼雅の家へ行くようになり、礼雅はいつでも優しく最愛を迎えてくれた。

「礼雅お兄ちゃん、明日はこの服で学校へ行こうと思うけど、どう思う? おかしくないかな?」
「そうだな・・・・・・」

 最愛が紙袋から新品のブラウスを見せると、礼雅はにこやかに笑った。

「いいと思うよ。可愛らしいデザインだし、白は最愛ちゃんによく似合う色だから」
「本当!?」
「うん、本当」

 それを聞き、最愛の表情が花が咲いたように明るくなった。
 礼雅はただ単に似合っているか、似合っていないかを言うだけではなかったから。

「私、お気に入りの店に入ったときに一番にこれが目に飛び込んできたの! だからカードを使って安くしてもらって買ったの!」
「もしかして、ポイントカード?」
「そうだよ! ポイントカードのこと!」

 財布の中から赤いカードを出して、ポイントがたまれば、その分をお金にしてくれると礼雅に説明を加えた。

「お母さんと買い物は楽しいでしょ?」
「うん、楽しいけれど・・・・・・」
「あれ・・・・・・?」

 最愛の笑顔が消え、礼雅は首を僅かに傾げる。
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