この気持ちをあなたに伝えたい
「そんな、嘘だろ・・・・・・」

 願いが打ち砕かれて、裏切られていたのだとはっきりとわかって絶望した。

「ううっ・・・・・・」

 嗚咽を漏らして涙を流しそうになっていたので、必死に我慢をしていると、礼雅はどこかへ行ってしまった。礼雅の姿が完全に見えなくなってから、物陰から出た。
 それから最愛は礼雅から距離を置くようにした。
 電話に出るようにしているが、彼が迎えに来ないように何時に帰るかわからないことを言って、一緒に行動しないようにした。
 礼雅はどうしてそうなっているのか知ることはなかった。最初は最愛の体調を心配したり、大学で何か嫌なことがあったのではないかと何度も質問されたが、どれも違うとすぐにわかって、今では混乱からすっかり苛立ちに変わっている。
 授業が休講になったのでいつもより早めに家に帰ることができた。
 この日は後をつけられていなかったので、家でのんびりと本を読んでいると、玄関で物音がした。
 前に通販で買ってもらった本が届いたのだろうと思い、覗き穴から確認もせずにドアを開けた。

「久しぶり、最愛ちゃん」
「あ・・・・・・」

 後退しようとすると、礼雅は中に入って鍵を閉めてから追いつめてきた。家にいるのは最愛と礼雅だけだった。

「俺が送ったメールを読んだ?」
「メール?」

 礼雅がメールを送っていたことをこのとき初めて知った。

「いや・・・・・・」
「読んでいないんだ・・・・・・」

 携帯電話は鞄の中。授業中は電源を切っていることが多く、気づくことが遅れることがある。電源がついていても、遠くにあるから操作することができない。
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