この気持ちをあなたに伝えたい
　ここまでとんでもない嘘に惑わされる伏貫が本当に愚かだ。

「・・・・・・馬鹿な奴。どうしようもない男だな！」
「何だと！？」
「どうしようもない男だと言ったんだ！」
「この野郎！」

　二人に対する怒りが頂点に達し、我慢をせずに言いたいことをとことん言った。伏貫も怒りが膨れ上がり、壁を殴りつけた。

「うっ！」
「ちょうどいいや。今は誰もいないから、何をしても構わないよな？　警察に通報できないくらいに傷だらけにしても」

　恐ろしいことを平然と言ったので、最愛の顔が青くなる。

「近寄るな！　触るな！」

　彼の手が伸びたときに思いっきり突き飛ばした。バランスを崩して立ち上がろうとしている伏貫を横目で見てその場から逃げた。
　だけどすぐに追いつかれて、手で口を塞がれて逆戻りとなった。地面に足がついていなくて、必死に抵抗して、心の中で何度も助けを求めている。
　塞いでいる手に強く噛みつくと、地面に投げ落とされた。全身に痛みが走り、思うように動くことができなかった。胸倉を掴まれて顔を叩かれて、腹まで蹴られた。意識が朦朧としてきたときに暴行が止まり、悲鳴が聞こえた。
　誰かに抱きしめられているので、目を開けてみるが、ぼやけていて判断できなかった。
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