この気持ちをあなたに伝えたい
 正直そこまで遠いことを予想していなかった最愛は一瞬、言葉を失った。

「そんなに・・・・・・」
「少し遠いでしょ?」
「遠いね・・・・・・」

 そんなに時間をかけて、礼雅はマフィンを買った。
 最愛は買ってくれたことに感謝しながら、今度はゆっくりと味わった。

「マフィンって、かなり種類があるんだね。知らなかった」
「私も知らなかった・・・・・・」

 マフィンの種類が数種類あることは知っていたものの、知らないものもあった。
 他にも何があるのかを訊いてみると、プレーンや紅茶、ナッツなど、他にもたくさんあることを知った。
 最愛の母が持っているレシピの本を読んでも、プレーンとチョコレートのマフィンの作り方しか載っていなかった。

「最愛ちゃん、来週にテストがあるんだよね?」
「うん、そうなの・・・・・・」
「やっぱり嫌だよね・・・・・・」

 テストが近づいているので、最愛は嫌で仕方がない。
 それが顔にはっきりと出ているので、礼雅の口元が緩んだ。

「テスト・・・・・・」
「もし、高得点を取れたら、今度はいろんな種類のものをご褒美に買ってきてあげるよ?」

 礼雅が耳元で囁くと、俯いていた最愛は顔を上げた。

「本当!?」
「ふふっ、本当だよ・・・・・・」

 礼雅が明るい笑みを返したので、最愛は目を輝かせた。

「テスト、頑張るね!」
「よしよし・・・・・・」

 またこの店のマフィンを食べることができる。そう思うと、最愛は高得点を目指して、勉強をやる気になった。
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