この気持ちをあなたに伝えたい
 深香にメニューを凝視したまま話しかけられ、口の中に入れていたので、首を上下に動かしてからすぐに飲み込んだ。

「私も初めて彼に連れて来てもらったときは驚いた・・・・・・」
「最愛はさっさと決めちゃったじゃない。私が随分時間がかかったんだよ」

 初めて来たときはもう少し悩んでいた気がする。

「前に食べに来たときに次に食べるものを決めていたからな」
「なるほどね。私もそうしようかな」

 深香はデザートも食べたがっていたから、そのときにまたメニューを開いて決めてしまうだろう。
 別の店で時間を潰してから混んでいない時間を見計らってここへ来たので、そのおかげですぐに席を案内してもらうことができた。

「二人も連れて来ることができなくて残念だ・・・・・・」
「私もバイトをしようかな」

 実は芽実達も食事に誘ったのだが、どちらもバイトが入っていたため、深香と二人で食事をすることになった。

「それって外食をするためにか? 週に何回くらい?」
「週に四回以上・・・・・・」
「多いな・・・・・・」

 外食ばかりしていたら、絶対に良くない。味が濃く、高カロリーのものを食べ続けると、病気になる可能性が高い。

「少しは料理ができないと駄目だろう?」
「そうだけど・・・・・・料理って難しいね。最愛はすごいよね? できるから・・・・・・」
「そんなことない」

 深香は昔から料理が苦手で、練習をしていたようだが、すぐに嫌気がさして現在ではほとんどしていない。
 深香は羨望の眼差しで最愛を見つめた。

「それほど凝った料理はできないぞ?」
「嘘ばっかり。この間、礼雅さんと電話で話している会話を聞いたんだから」
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