この気持ちをあなたに伝えたい
 雛は高校生の頃、少しでも自分の思い通りにならないことがあれば、ヒステリックに叫ぶこともあり、彼女にはかなり振り回された。
 何度か本当に殴ろうかと考えていたときだってある。

「性格が悪いことは前から知っていたけど、ここまでするとは思わなかった・・・・・・」
「反省の色が見えないな・・・・・・」
「雛こそもっと痛みを知らなくちゃいけないのに!」

 事件が解決してから特におかしなことは起こっていなくて、平穏な日々を送っている。

「礼雅さんとはその後どうなの?」
「・・・・・・ん? 何がだ?」

 よくわからなかったので、首を傾げると深香は溜息を吐いた。

「進展はなし?」
「私と彼は兄妹のような関係だ」

 礼雅の家には今も変わらず足を運んでいて、お喋りをしながら料理をすることや一緒に買い物に行くこともする。

「・・・・・・恋愛に興味ないの?」
「恋愛、ちょっと・・・・・・」
「あんなことになったから? でも、それだけじゃないか・・・・・・」

 それに頷くと、深香は最愛の頭を撫でた。
 本当はそれだけではなかった。
 あることがきっかけとなって、恋愛に対して恐怖を感じている。黙り込んでいると、深香が自分の手に触れて怯えた。ばつが悪そうに謝られて、自分も謝った。
 
「大丈夫だよ。あんな馬鹿ばかりじゃないもの」
「そうだな。深香、恋人ができたらすぐに教えてくれないか? ふざけた奴じゃないかチェックしたい」
「ふふっ、最愛ってば保護者みたい」
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