この気持ちをあなたに伝えたい
 他人事だから平気で言ってくる。この言葉は深香にも何度か言われたことがあるので、気持ちが沈みかけた。

「もうしばらくしたらテストがあったんだよな? 自信はあるのか?」
「そこそこ。テストはまだ先だから嫌な話をしないでくれ・・・・・・」

 それでなくとも、嫌な科目がいくつかあるから、頭を抱えている。

「くくっ、嫌か・・・・・・」
「そんなの決まっているだろう・・・・・・」

 話を打ち切ろうとする最愛に礼雅は口元を吊り上げた。

「現実逃避をするなよ」
「ちゃんと勉強をする。夏休みはどこかへ行きたいな・・・・・・」

 夏休みから始まったら、どこでもいいから行こうと考えていた。

「・・・・・・俺に強請っているのか?」
「もちろん。他に誰がいる?」

 力強く頷いた最愛を礼雅は一瞥した。

「わかったよ。連れて行ってやるから用事を入れるなよ?」
「やった! ありがとう!」

 礼雅の腕に絡みつくと、動きにくそうに歩き始めた。

「最愛、思うんだけどさ・・・・・・」
「・・・・・・何だ?」

 突然言ってきたので、最愛は何事かと思い、身構える。

「女に腕にしがみつかれたら嬉しいはずだが、お前の場合は幼女が抱っこを要求しているようにしか思えない。痛っ!」
「余計なことを言った罰だ」

 背伸びをしてデコピン攻撃をした。礼雅の文句を聞き流しながら、あることを思い出していた。
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