この気持ちをあなたに伝えたい
 礼雅の家へ行くようになってから、ときどき勉強を教えてもらっていて、以前よりも成績が上がったので、両親にも先生にも褒められた。嬉しいことや嫌なことなど、細かいことまで礼雅に報告するようになっていた。
 マフィンを食べ終え、最愛はティッシュを取って口元を拭いた。

「口の中が甘くなった」
「さて、おやつを食べたからさっそく勉強をしようか」
「待って!」

 礼雅に言われることを最愛は予想していなかったので戸惑った。

「もうやらないといけないの?」
「うん、やりたくないの?」
「せめて、もうちょっとだけ・・・・・・」

 だけど、それを礼雅は許してくれなかった。
 いつものように礼雅と楽しくお喋りする時間は与えてもらえないようだ。

「大丈夫だよ? ちゃんと高得点を取れるよ?」
「時間のあるときにちゃんとしておかないと、小さなミスをして点数を落とすよ?」
「それは困る・・・・・・」

 最愛ががっかりしていると、礼雅は上からポンポンと頭を叩いた。

「一緒に勉強をしよう? 俺も宿題がまだ終わっていないから」
「そうなんだ・・・・・・」

 最愛には兄も姉もいないので、中学生の勉強がどのようなものか、全然知らない。

「勉強、難しい?」
「ううん、難しくないよ。でも、大変だね・・・・・・」
「やっぱり・・・・・・」

 算数ドリルを取り出し、ノートに何度も書いて頭に叩き込んだ。隣で礼雅が最愛のノートを覗いた。

「たくさんあるね」
「でしょ?」
「うん・・・・・・」

 礼雅にとって簡単な問題でも、最愛には何が何だかさっぱりわからない。

「礼雅お兄ちゃん、ここってどうすればいいの?」
「おっと、ここはね・・・・・・」

 お互いを励まし合いながら、勉強を頑張った。
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