この気持ちをあなたに伝えたい
 続きが言えずに口を開けたり閉めたりしていると、母が助けてくれた。

「キスをしていたこと? いつものことよ。それなのに最愛は驚いて、自分の部屋に閉じこもって・・・・・・」
「部屋へ行く前にお父さんに捕まって、私までキスをされた」

 思い出しただけでまた恥ずかしくなった。

「お父さんとキスをすることは飽きた?」
「そうじゃない・・・・・・」

 本人は自覚しているのかしていないのか、まるで娘をやんわりと責めているような言い方だった。

「やっぱり親離れはいずれしないと・・・・・・」
「礼雅君とキスをするようになった?」
「どうしてそこで色・・・・・・礼雅お兄ちゃんが登場するんだ!?」

 衝撃の質問に変な声が出てきた。危うく、いつものように呼んでしまいそうになったので、最愛の心臓が狂ったように暴れ回っている。

「恋人じゃないの?」
「違うに決まっているだろう!」

 友達からも同じ質問が飛んできて、同じ返事を返すことに疲れる。

「浴衣について話したでしょ? 礼雅君のリクエストに応えようとしているから」
「それは・・・・・・ただの気紛れだ・・・・・・」
「そう?」

 母の笑顔が彼の悪戯をするときの笑顔に酷似していることを知り、買ってもらった浴衣を店員から受け取って違う話題にした。

「お母さんは何か買うものはないのか?」
「喉が渇いたから、下の階へ行かない?」
「行く。何か飲もう」

 下の階にあるドリンク専門店のドリンク回数券を使用すると、どれも百円安くなる。
 最愛は十種類以上あるメニューをさっと見て、即決した。

「最愛、どれにする?」
「えっと・・・・・・これにする。お母さんは決めたか?」
「私もそれで・・・・・・」
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