タラシな彼氏と泣き虫彼女
ギー〜ーと屋上の錆び付いたドアを開けると、一人の男子が奥の方で立っているみたいだった
「……あれって…」
私の妄想とか、勘違いとか、そういうんじゃないなら多分あの人は……
その人の顔が早く確認したくて、早足でその人の元へ向かった
「一条……くん?」
そう聞くと、背を向けていた男子が振り返り、私を見る
……一条くんだ……
「佐々倉……笑美……」
フルネームを言った一条くんに少し可笑しくなってフフッと笑うと
一条くんは照れるように頭をかいた
「呼んだのって一条くん?」
バクバクと鳴り始めた心臓を抑えるようにゆっくりと聞く
「うん、佐々倉に話がある」
一条くんの真剣な目に私の瞳が吸い込まれそうになる
「俺と……付き合ってくれ」