恋愛の神様

掻っ攫われるかも、という危機感は思いの他、俺を追い詰めた。

他の女だったらこうは思わない。

離れて二度と手に戻ってこなくったって惜しくない。

なぜなら、替えならいくらでもいるから。

だが、野山はそうじゃない。

だって、野山は俺のペットだろ?
俺のモンじゃねーか。
生かすも殺すも俺が決定すんだよ。

野山は野山で、本当は俺がそんな事を勝手にしていい権利なんかナイと分かっていて、俺は子供みたいに我儘に拗ねた。


思い余って電話を掛けてみた。

それまで体裁悪いだのなんだの言って連絡しなかったくせに随分、現金なこった。

だが、どれだけコールを重ねても相手が電話口に出る事はなく。


「レオ、シャワー使う?」

「ああ。」


バスルームから出てきた亜子にニッコリ笑顔で応え―――俺は徐に振りかぶり―――携帯を思いっきりソファーに投げつけた。

亜子がちょっと驚いたようにそれを見詰めていたが、なんのフォローもなくバスルームへ向かった。




オイ、頼むぜ、野山小鳥。

自分のサイズ考えよーや。


部長なんかとヤったら、絶対壊れっからなっ!





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