恋愛の神様

夕刻。
仕事を終え麓の宿泊先に着いて『飯を食うから着替えて来い』と言われたが、満身創痍の野山はベッドに突っ伏すなりグースカ寝てしまったらしい。

気がついたのがこの電話のコール。

ということで、昨晩の俺の電話はすっかり熟睡していたためスルーされたようだ。

それならそれで構わねーけどな……


チクショウ。
ヤキモキさせやがって!


化粧も落とさず、せっかくの温泉も料理も堪能できずジャージのまま寝てシマッタ―ッ!と電話口でかましく騒いでいる。

なんてコントみたいな女だ。

呆れつつ、思わず電話口で顔を緩めてしまう。


『はぅぅ…この先半日もあるなんて……』


恐怖の昨日を思い出し戦く野山に、俺は笑った。


「がんばれチィちゃん。」

『他人事だと思いやがって、ですよぅっ!!』

「頑張ったらちゃんと労ってやるから。」

『…………………………ふえ?』

「今日終わったらウチおいで。」



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