恋愛の神様
「……ひよ子…着替えてきたらどーだ。その格好でもここじゃなんだが、アッチに着いたら……浮くぞ。」
噴き出すのを堪えながら、とりあえず忠告してみる。
腹筋イテーッ、腹筋イテーッ。
ひよ子はカバンを持ってトイレに向かい数分後、色気のないスーツで姿を現した。
ベンチに置き去りの弁当を持ち上げ、む?と眉を顰める。
「若干、軽くなった気が致します…」
「……貴様は俺を何だと思ってやがンだ。取るかヨ!」
「冗談ですよ。冗談。」
ったく、このひよ子はよー……。
顔を顰めてヤツの手の中の弁当を睨む。
駅前のコンビニでやってた弁当フェアで手に入れた弁当は四つ。
「さすがの俺も三つは食べらんねーぞ?」
「は?何をおっしゃいます。四個あるのだから二つずつに相場は決まっておりますヨ!」
「オマエ、チビのくせに……」
「いいじゃないですか。だって昨日は温泉のお料理も食べれず仕舞いなんですよ?そりゃあ、まぁ部長は今野社長と呑めや歌えの大宴会で精々楽しんだご様子ですがぁ…」
「うっせぇな。ちゃんと呼んでやったのに寝ちまうオマエが悪いんだろーが。それをいつまでもネチネチと!シツコイぞ!」
「だって。タノシミにしてたんですよぅー。それなのに。それなのに。寝ちゃったからって置いてくなんて酷いですっ!何故、ドアを蹴破って拡張機でも使って起こしてくれなかったんですかー!」
「何でそこまでしなきゃなんねーんだっ!」