恋愛の神様



―――ゴメンナサイ、ゴメンナサイ……

アナタが好き。

いつかアナタの赤ちゃんを産めたらイイナって思ってた。

だけどそれが今、現実として突きつけられて、私……拒んでしまった。

私は……私の将来を取ってしまった。

アナタの赤ちゃんを殺して、私は私の将来を選んでしまったの。




そう泣きじゃくる彼女を俺は降りしきる雨の中で見付けて、力一杯抱きしめた。




オマエの選択は間違っちゃいない。

正しかったよ。

俺だって父親の自覚なんていきなり持てとかいわれて持てるもんでもねーし。

正直、戸惑ったモンをさ、オマエは一人で考え抜いて答えを出したんだろ?

偉いよ。

偉かったよ。

ゴメンな、何もしてやれんかった。

だからさ、俺と結婚しよーや。

赤ちゃんは実際手間かかるけど、俺はほっときっぱなしでいいし、オマエの将来の邪魔にはなんねーぜ?

子供は追々にして――――

それまでは俺がいればいいよな?






彼女はわんわん泣きながら何度も頷いた。

堕胎を切欠に結婚するなんざ、特殊なパターンだが。

好きな男の子と仕事と天秤にかけて、悩んで苦しんで出した答えが正しかったと分かっていても、傷ついて泣かずにはいられなかった彼女が愛おしかった。


一生大切にしてやりたいと思ったんだ。


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