恋愛の神様
野山小鳥
※※※kotori noyama※※※
くらーいくらーい闇の中、音楽と一緒に小さな光が瞬きました。
ポケットを漁って、携帯を取り出します。
『…………チィちゃん今どこ?』
少し躊躇うような間を置いて相手がそう尋ねました。
相手は草賀さんです。
「家です。」
迷いもない即答に草賀さんは少し沈黙しました。
『今日、ウチ来る約束したよな?』
ワタクシは目を瞬かせました。
まるで夢でも見てるみたいデス。
確かに約束したのにワタクシは一体何故お家に帰ってきたんでしょう。
記憶を穿り返してみてもその道中すら思い出せません。
「すっかり忘れていました。」
正直な返答に草賀さんは『分かった』とだけ応えて電話をお切りになりました。
それからどれくらい経ったでしょうか。
不意に玄関のチャイムが鳴りました。
こんな時間に来るなんて、ヘンタイか押し売りに決まっています
―――などと訝ることなく、ワタクシは玄関に向かいました。