恋愛の神様
誰でもいいなんてそんな失礼な女、呆れて捨ててください。
腕から逃れようと暴れます。
「チィちゃん―――」
不意に拘束が解かれたと思った拍子に、頬を両手で挟まれました。
「草賀さ――――」
唇を塞がれました。
柔らかく、温かく、深く。
ほら……
ワタクシは、なんて卑怯なんでしょう。
与えられた温もりにワタクシは抵抗していた事も忘れ縋りついてしまいます。
でも本当はこんなのいけないんだって分かっています。
無条件に甘やかしてもらいたい……
だけどワタクシ、我儘に草賀さんを傷つけたくはないんです。
「くしゃがしゃぁん……」
器用にワタクシの服を寛げ始めている人に、ワタクシはズビズビと鼻を啜りながら切実に訴えました。
涙で化粧も剥げ落ちたミットモナイ顔だったことでしょう。
草賀さんは、黙れとばかりに唇に小さくキスをしました。
「こういう時は無条件で甘えンのが、カワイイ女だぞ。俺は小鳥一匹支えてやれんほどちっちゃくねーよ?」
それに、と草賀さんはどこか自嘲的に笑いました。
「俺の方が悪い男だから。…失恋未遂で甘えたって、オマエは全然ヒドイ女じゃねーから、安心して寄かかっていーんだよ。」
優しい言葉にまた涙が溢れてきました。
「…ずびっ…草賀さんがフツーに優しいと不気味です……。」
「……オマエ、ホント、黙ってろよ。」