恋愛の神様
濡れた服を全部剥ぎ取られてベッドに落されました。
寒くて震えていると、服を脱いだ草賀さんが覆いかぶさってきました。
「全部忘れて溺れちゃいな。」
居丈高な言い草のくせに、口調はとても優しくて、また涙腺が緩んでしまいそうです。
「自覚なかった所為でもあるだろーけど……ちゃんと部長の尻引っぱたいて行かせてやったんだろ?偉かったな。」
首筋に落ちた唇が肌を伝って胸に到達します。
ゆるりと掛った時間はワタクシを温めるためのようでもありました。
「ぅ………ふ、…ぁん……」
ワタクシの身体を知り尽くしたみたいに的確に快楽の壺を暴いていく指に堪え切れず声が零れます。
頭の芯がぼうっとなって、ワタクシは堪らず、胸元の頭を掻き抱きました。
サラサラと柔らかい髪の毛が肌を擽るその刺激にさえも敏感に震えてします。
ワタクシ部長とこんなことをしたかったんでしょうか。
分かりません。
分かる前に、生まれたばかりの気持ちはあっけなく千切られてしまったのですから。
育つことなく消えてしまった気持ちが、今はこんなに悲しい。
あの手なら、どんな風にワタクシに触れて、溶かしてくれたんでしょう―――
想像しようと試みましたが結局出来ませんでした。
だって、今ワタクシに触れているのは、部長ではないんですから。
闇に滲んだ輪郭はワタクシの運命の人
―――いいえ、草賀さんです。
傷ついたワタクシを自分の所為でもないのに慰めてくれる人。