恋愛の神様
「それは………有体に言ってお払い箱、との事ですか?」
一課は企画も担う、いわば会社の最前線だ。
入社してからココまで色々な課に回されてきたが、それは見分を広げるためだと思っていたし、異論はなかった。
しかし今更一課から外されるという事は、無能といわれるも同然だろう。
前線には必要ないが、伊熊の息子だから簡単に首を切るわけにもいかず適当なトコロへ島流しってか!?
「アァ?」
途端にクマはギロリと目を向いてデスクにぐいっと身を乗り出してきた。
「オマエ、ガキの分際で偉そうに仕事に上下付ける気かぁ?アッチの仕事がココの仕事に劣るなんざ、何を基準に言ってやがんだ。思い上がんな。」
俺はぐっと顎を引いた。
「………スミマセン。」
府に落ちないながらも部長の言い分は正論だ。
ぎっしっと重い音を上げて、部長が椅子の背もたれに仰け反る。
「まーなー。ぜぇんぜぇん畑違いで戸惑うのは無理ねーわな。しかも実質分岐会社でよ。………でもよ、畑違いっつったら、ココの課の奴等みんな大差なくてよー。そこんとこオマエならこう恙無くこなしてくれちゃうだろ?」
にやっと部長は口端を歪めた。
「オマエならどこ出しても俺は恥ずかしくねぇって思ってっからさー。」
ぐぅ……………やられた。
こういう褒め方はズルイ。
野山じゃないが、この人に褒められて悪い気なんかしないんだ。