恋愛の神様
野山小鳥
※※※kotori noyama※※※
「「ただいま」デス」
玄関に辿り着くや、二人で膝を突いて「だぁぁぁぁ」と息を継ぎました。
連日の激務が相当効いています。
常には会社に戻って残業をなさる草賀さんも本日はワタクシとブライダルの仕事を終えて帰宅です。
よぅし!
野山小鳥。
ココは腕の見せ所でございます!!
「草賀さん、ここでもう暫くお待ちください。」
立ちあがったワタクシは草賀さんにそう言いつけ、リビングへ走りました。
まずは帰り際に買ってきた惣菜をローテーブルに並べます。
どうせなら何か作りたかったのですが、時間も手間もかかるので本日は省こうと意見が一致したためであります。
その後バッグを持ってバスルームへ。腕を巻くって手早くバスを洗い始めました。
「おーい?俺は自分家にいつ入れんだぁ?」
玄関から呆れたようにぼやく声が聞こえました。
「つかさ、そんなんオマエ一人がやらんでも後で分担すりゃいいんだぞ?」
草賀さんはこれまでもワタクシを一方的に飯炊き女扱いしたことはありません。
以前料理を褒めてくれた事はありますが、だからと言って強制することもないのです。
あくまで平等です。
その気遣いにワタクシは感激し……ちょっと困ってしまいます。
色々と世話になった分を得意分野の家事で恩返し出来たらよいのですが、そう言うわけにもいかず、おしつけがましくして負担になったら本末転倒ですからね。
ですから、ワタクシはワタクシらしくワタクシのやり方で恩返しをしたいと思うのです。